
~はじめに~

インボイス制度とは?

インボイス制度に登録しないと?

登録申請は既に始まっています!
何故、今「インボイス制度」対応の整備システムでなくてはならないの?

そもそも、自動車業界にインボイス制度は関係ないのでは?

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この先は、インボイス制度(適格請求書等保存方式)と電子帳簿保存法に、自動車整備工場・車両販売店(車屋)がどう向き合えばよいのかを、国税庁の一次情報にもとづいて整理した解説です。 整備システム・整備ソフト・車両販売システムの入替や新規導入を検討している方が、「どこまでシステムに任せられるのか」「何を自社の運用で決めておくべきか」を判断できるようにまとめました。
2026年10月1日から何が変わる?控除割合80%→70%と4段階スケジュール
インボイス制度では、適格請求書発行事業者以外の者(消費者、免税事業者、登録を受けていない課税事業者。以下「免税事業者等」)からの課税仕入れは、原則として仕入税額控除ができません。ただし制度開始から一定期間は、仕入税額相当額の一定割合を控除できる経過措置が設けられています。
この経過措置の割合は、これまで広く知られていた「80% → 50%」の2段階ではなく、令和8年4月改訂の国税庁インボイスQ&Aで4段階に細分化されました。整備工場・車販店の原価に直接効いてくるので、切替時期を押さえておいてください。
| 期間 | 控除できる割合 | 西暦での目安 |
|---|---|---|
| 令和5年10月1日 〜 令和8年9月30日 | 仕入税額相当額の80% | 2023年10月〜2026年9月 |
| 令和8年10月1日 〜 令和10年9月30日 | 仕入税額相当額の70% | 2026年10月〜2028年9月 |
| 令和10年10月1日 〜 令和12年9月30日 | 仕入税額相当額の50% | 2028年10月〜2030年9月 |
| 令和12年10月1日 〜 令和13年9月30日 | 仕入税額相当額の30% | 2030年10月〜2031年9月 |
出典:国税庁「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」問113(令和8年4月改訂)/28年改正法附則52・53。2026年8月6日確認。
もうひとつの改正 — 経過措置に「金額の上限」がある
令和6年10月1日以後に開始する課税期間では、一の免税事業者等から行う経過措置対象の課税仕入れの合計額が一定金額を超えると、超えた部分には経過措置が使えません。この上限額も令和8年10月1日以後に開始する課税期間から大きく下がります。
| 課税期間 | 1社(1者)あたりの上限額 |
|---|---|
| 令和6年10月1日 〜 令和8年9月30日 の間に開始する課税期間 | 税込 10億円 |
| 令和8年10月1日以後に開始する課税期間 | 税込 1億円 |
出典:同Q&A 問113(令和8年4月改訂)。
整備工場・車販店にとって、これは何を意味するか
- 仕入原価が実質的に上がる:免税事業者の部品商・外注先・引取業者と取引していると、控除できる消費税相当額が80%から70%に減ります。同じ支払額でも、自社が納める消費税は増えます。
- 切替の境目は「支払った日(課税仕入れを行った日)」:2026年9月30日までの課税仕入れは80%、10月1日以後は70%。月をまたぐ請求の締めと計上日が混在する整備業では、システム側で日付基準に自動で税区分を切り替えられることが重要になります。
- 帳簿の書きぶりも変わる:経過措置を適用するには、帳簿に「経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨」の記載が必要です。国税庁の記載例は「80%控除対象」「免」など。割合が切り替われば、この表記も併せて見直す必要があります(「※は70%控除対象」のように記号でまとめて示す方法も認められています)。
- 取引先の登録状況を棚卸ししておく:どの仕入先が適格請求書発行事業者で、どこが免税事業者なのかを台帳として持っていないと、税区分の付け替えが手作業になります。
インボイス制度(適格請求書等保存方式)の基本をおさらい
インボイス制度は、令和5年10月1日に始まった消費税の仕入税額控除の方式です。売り手は、買い手(課税事業者)から求められたときに適格請求書(インボイス)を交付する義務があり、交付したインボイスの写しを保存しなければなりません。買い手も、仕入税額控除の適用を受けるために、原則として売り手から交付を受けたインボイスの保存が必要です。
インボイスを交付できるのは、税務署の登録を受けた適格請求書発行事業者だけです。登録番号は「T」+13桁の数字で、法人番号を持つ課税事業者はT+法人番号になります。保存期間は、課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日から7年間が原則です。
適格請求書に必要な6つの記載事項
- 適格請求書発行事業者の氏名または名称、および登録番号
- 課税資産の譲渡等を行った年月日
- 課税資産の譲渡等に係る資産または役務の内容(軽減税率の対象ならその旨)
- 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜または税込)および適用税率
- 税率ごとに区分した消費税額等
- 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称(宛名)
紙の請求書でも電子データでも、この6項目が満たされていれば様式は自由です。逆に言えば、「登録番号が印字されない」「税率ごとの消費税額を出せない」「宛名を入れられない」整備システムは、そのままでは適格請求書を交付できません。
適格簡易請求書(レシート)で足りる業種と、整備業の扱い
小売業、飲食店業、写真業、旅行業、タクシー業、駐車場業(不特定かつ多数の者に対するもの)など、不特定多数の相手に販売する事業では、宛名の記載を省略した適格簡易請求書の交付が認められます。
一方で自動車整備業そのものは、この例示業種に挙げられていません。整備・車検・修理の代金を法人や個人事業主のお客様に請求する場面では、原則として宛名を記載した適格請求書の交付が求められると考えて設計しておくのが安全です。店頭でのオイル・部品の小売など、小売業に該当する取引と、整備売上を分けて扱えるかどうかがシステム選びのポイントになります。
消費税の端数処理は「1インボイスにつき税率ごとに1回」
適格請求書における消費税額等の端数処理は、一のインボイスにつき、税率ごとに1回行います。明細行ごとに端数処理をして合計する方法は認められていません。切上げ・切捨て・四捨五入のどれを採るかは事業者の任意ですが、社内で統一しておく必要があります。整備の見積・作業指示・請求が別画面に分かれているシステムでは、この「請求単位で1回」を守れているか確認してください。
値引き・返品があったとき(返還インボイス)
売上に係る対価の返還等(値引き・返品・割戻し)を行った場合は、原則として適格返還請求書(返還インボイス)の交付義務があります。ただし、返還等の金額が税込1万円未満であれば交付義務は免除されます。振込手数料相当額を売上値引きとして処理する運用が実務では多く、この免除規定が効いてきます。
自動車整備・車両販売の現場でインボイスが関係する5つの場面
「自動車業界には関係が薄いのでは」という声を今でも聞きますが、実際には仕入れ・外注・立替・下取り・リサイクルのすべてに関わります。場面ごとに整理します。
① 部品商・オートオークションからの仕入れ
部品商、用品商、オートオークション(オークション代行)からの仕入れは課税仕入れです。相手が適格請求書発行事業者であれば、交付を受けたインボイスを保存して満額控除。免税事業者であれば、前述の経過措置(2026年9月30日まで80%、10月1日以後70%)と帳簿記載が必要になります。仕入先ごとに登録状況を持っておかないと、この判定が毎月の手作業になります。
② 外注先(鈑金塗装・電装・エーミング・陸送)への支払い
特定整備・エーミングの外注、鈑金塗装の外注、陸送・引取回送への支払いも課税仕入れです。個人事業の職人・回送業者は免税事業者であるケースが少なくありません。支払通知書や外注管理を整備システムの中で扱えると、税区分の付け漏れを防げます。
③ 車検・点検の請求書と、法定費用の立替・預り
車検の請求書には、整備料金(課税)と、自動車重量税・検査手数料(印紙)・自賠責保険料といった消費税の課税対象外(不課税・非課税)の費用が混在します。適格請求書は「税率ごとに区分した対価の額と消費税額」を求めるため、この区分が請求書の上で明確に分かれていることが前提です。預り金・立替金の扱いや、税抜表示・税込表示のどちらで出すかも含め、整備システムの帳票がそのまま適格請求書として通るかを確認してください(個別の取引の税区分判断は、必ず顧問税理士または所轄税務署にご確認ください)。
④ 中古車の下取り・買取 — 古物商等特例が使える
ここは車屋さんにとって最重要の特例です。古物営業法上の許可を受けて古物営業を営む古物商が、適格請求書発行事業者以外の者から古物(自社が事業として販売する棚卸資産に該当するものに限る)を買い受けた場合には、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます(古物商等特例)。
つまり、一般消費者から中古車を下取り・買取した場合、インボイスがなくても、帳簿の記載・保存があれば仕入税額控除ができます。国税庁Q&Aでも「中古車販売業(古物商)」が例として示されています。相手が適格請求書発行事業者である場合は、通常どおりインボイスの交付を受けて保存する必要があります。
同様に帳簿のみの保存で控除が認められるのは、質屋営業を営む質屋が質物を取得する場合、宅地建物取引業者が建物を購入する場合、再生資源・再生部品を購入する事業者の場合などです。
⑤ リサイクル・金属くず — 令和8年9月1日から新しい特例が加わる
特定金属くず買受業の届出を行っている事業者が、適格請求書発行事業者でない者から特定金属くず(自社が事業として販売する棚卸資産に該当するものに限る)を購入する場合も、帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます。ただし、令和8年9月1日以後に行われるものに限られます。廃車・解体・スクラップまで手掛けている工場は、この届出と帳簿要件を押さえておくと有利です。
出典:国税庁インボイスQ&A 問106(令和8年5月改訂)/消令49①一ハ。2026年8月6日確認。
車屋さんが使える負担軽減措置と、その期限
少額特例 — 税込1万円未満は帳簿だけでよい(令和11年9月30日まで)
基準期間の課税売上高が1億円以下、または特定期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者は、令和5年10月1日から令和11年(2029年)9月30日までの間に行う税込1万円未満の課税仕入れについて、一定の事項が記載された帳簿のみの保存で仕入税額控除ができます(少額特例)。相手が免税事業者でも対象になります。
1万円未満の判定は一回の取引の税込金額で行い、商品1個ごとではありません。少額の部品・消耗品・工具、駐車料金、細かな外注などが多い整備業では効果が大きい措置です。なお、少額特例の適用にあたって帳簿に「少額特例の適用がある旨」を記載する必要はありません。
2割特例と、新設された3割特例
2割特例は、免税事業者がインボイス登録によって課税事業者になった場合に、納付税額を売上税額の2割で計算できる経過措置です。適用できるのは令和5年10月1日から令和8年(2026年)9月30日までの日の属する各課税期間。個人事業者なら令和8年分の申告までが対象です。事前の届出は不要で、申告書に適用を受ける旨を付記すれば使えます。
この2割特例の期間が終わった後については、令和8年4月のQ&A改訂で3割特例が示されました。令和9年分および令和10年分の課税期間について、個人事業者である免税事業者がインボイス発行事業者となる場合に、売上税額の7割を控除(=納付は売上税額の3割)できる措置です。対象は個人事業者に限られ、基準期間の課税売上高が1千万円以下であることなどの要件があります。
出典:国税庁インボイスQ&A 問111・問112(少額特例)、問114・問114-2(2割特例・3割特例、令和8年4月追加)。2026年8月6日確認。
インボイスだけでは終わらない — 電子帳簿保存法への対応
インボイス対応と並んで避けられないのが電子帳簿保存法です。メールやWebで受け取ったPDFの請求書・領収書、EDI取引、クレジットカードや高速道路の利用明細などは電子取引にあたり、原則として電子データのまま保存する必要があります(紙に出力して保存する方法によることはできません)。
保存にあたっては、改ざんを防ぐための措置(タイムスタンプ、訂正・削除の履歴が残るシステム、または「正当な理由がない訂正・削除の防止に関する事務処理規程」の備付けなど)と、取引年月日・取引金額・取引先で検索できる状態にしておくことが求められます。一定規模以下の事業者は、税務職員のダウンロードの求めに応じられれば検索機能の要件が緩和されるなどの措置もあります。
整備業の現場では、部品商の請求書がPDFメールで届き、車検の法定費用の領収書は紙、オークションの精算書はWeb明細——というように混在します。「インボイスの要件を満たした請求書を出せる」だけでなく、「受け取った電子データを検索できる形で保存できる」ところまでを整備システム・整備ソフトの評価対象に含めてください。詳細な要件は国税庁の電子帳簿等保存制度特設サイトで確認できます(本記事は2026年8月時点の情報です)。
インボイス対応の整備システム・整備ソフト選び 12のチェックリスト
「インボイス対応」とうたう整備システムは増えましたが、対応の深さには差があります。資料請求やデモのときに、次の12点を具体的に確認してください。
| # | 確認したいこと | なぜ重要か |
|---|---|---|
| 1 | 自社の登録番号(T+13桁)を請求書・領収書・レシートに自動印字できるか | 記載事項①。手書き・ゴム印運用は交付枚数が増えると破綻する |
| 2 | 税率ごとに区分した対価の額・適用税率・消費税額を出力できるか | 記載事項④⑤。10%と8%が混在する売上(飲料・軽油以外の商品など)に対応できるか |
| 3 | 端数処理が「1請求につき税率ごとに1回」になっているか | 明細行ごとの端数処理は認められない |
| 4 | 宛名あり(適格請求書)と宛名なし(適格簡易請求書)を使い分けられるか | 整備売上と店頭小売を同じ帳票で出すと過不足が生じる |
| 5 | 返還インボイス(値引き・返品)を発行できるか。税込1万円未満は免除の運用ができるか | 振込手数料の値引処理などで日常的に発生する |
| 6 | 修正インボイスの発行と、元の帳票との紐付けができるか | 誤りがあった場合、修正したインボイスの交付が必要 |
| 7 | 交付したインボイスの「写し」を7年間保存できるか(電子控えでよいか) | 売り手側の保存義務。紙の控えをファイリングし続けるのは非現実的 |
| 8 | 仕入先マスタに「適格請求書発行事業者かどうか」と登録番号を持てるか | 税区分の自動判定の前提。免税事業者フラグがないと毎月手作業になる |
| 9 | 経過措置の控除割合(80%/70%/50%/30%)を日付基準で自動切替できるか | 2026年10月1日・2028年10月1日・2030年10月1日に切替が発生する |
| 10 | 古物商等特例・少額特例に対応した帳簿記載ができるか | 消費者からの中古車買取、1万円未満の仕入れは帳簿要件で控除できる |
| 11 | 受け取った電子取引データ(PDF請求書等)を、取引年月日・金額・取引先で検索できる形で保存できるか | 電子帳簿保存法。インボイス対応とは別の要件 |
| 12 | 制度改正時のプログラム更新が、追加費用なしで受けられるか。リース期間中の改正対応が契約に含まれるか | これが今回の80%→70%のような改正で最も差が出る |
あわせて、整備システムの価格(初期費用・月額・リース料)、車検・点検・整備記録簿・請求・入金までの一連の流れが1つのシステムで完結するか、車両販売システム(車販ソフト)としての機能(在庫・仕入・販売・登録書類)、既存の顧客データを移行できるか、といった点も比較の軸になります。
整備システムはリース契約が主流 — 契約年数と制度改正のタイミングを合わせる
整備システム・車両販売システムは、5年または6年のリース契約で導入されるのが主流です。リース契約は原則として途中解約ができません。ここに制度改正のスケジュールを重ねると、契約年数の意味が見えてきます。
| 時期 | 起きること |
|---|---|
| 2026年(令和8年)9月1日 | 特定金属くず買受業の届出者に、帳簿のみ保存の特例が適用開始 |
| 2026年(令和8年)10月1日 | 免税事業者等からの仕入れの控除割合が80%→70%/経過措置対象額の上限が税込10億円→1億円 |
| 2026年(令和8年)分の申告まで | 2割特例が使える最後の課税期間(個人事業者) |
| 2027年・2028年(令和9年・10年)分 | 3割特例(個人事業者) |
| 2028年(令和10年)10月1日 | 控除割合が70%→50% |
| 2029年(令和11年)9月30日 | 少額特例の適用期限 |
| 2030年(令和12年)10月1日 | 控除割合が50%→30% |
| 2031年(令和13年)9月30日 | 免税事業者等からの仕入れに係る経過措置が終了 |
今から6年リースを組むと、契約期間中に控除割合の切替が2回以上発生します。したがって、選定時に本当に確認すべきは「今インボイスに対応しているか」ではなく、「これから起きる改正に、追加費用なしで追従してくれるか」です。見積書の中に、プログラム改訂・法改正対応の費用がどう扱われているかを必ず確認してください。
よくある質問(FAQ)
自動車整備システム・自動車整備ソフト選びのよくある質問
参考リンク(一次情報)
国税庁の一次情報
- 国税庁:インボイス制度(適格請求書等保存方式)
- 国税庁:インボイスQ&A「5 経過措置」(PDF・問113 免税事業者等からの仕入れに係る経過措置/問114・114-2 2割特例・3割特例)
- 国税庁:インボイスQ&A(PDF・問106 古物商等の古物の買取り等)
- 国税庁:インボイスQ&A(PDF・問111 少額特例)
- 国税庁:適格請求書発行事業者公表サイト(登録番号の確認)
- 国税庁:電子帳簿等保存制度特設サイト
【ご注意】本ページは2026年8月6日時点で公開されている国税庁の資料(インボイスQ&A 令和8年4月・5月改訂版を含む)にもとづく一般的な情報提供であり、個別の取引に関する税務判断を示すものではありません。制度は今後の税制改正で変更される可能性があります。実際の申告・経理処理にあたっては、顧問税理士または所轄税務署にご確認ください。お問い合わせ窓口:株式会社日本カーネット(平日 9:00〜12:00/13:00〜18:00)。