取引先から届いた請求書のインボイスの登録番号が本物かどうかは、国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」で確認します。入力するのは「T」を除いた13桁の数字で、一度に10件までまとめて調べられます。会社名や屋号で探す検索欄はありません。この記事では、整備工場や中古車販売店が仕入先や外注先の番号を確かめる手順、公表される項目、番号が見つからなかったときの扱い、そして自社の請求書に載せる番号の見直しまでを、国税庁インボイスQ&A(令和8年5月改訂版)に沿って整理します。
インボイスの登録番号を確認する公表サイトの使い方
確認に使うのは、国税庁が運営する適格請求書発行事業者公表サイトです。サイトの案内によると、「T」を除く13桁の半角数字を入力して「検索」ボタンを押すと結果が表示され、一度に10件まで検索できます。
手順は次のとおりです。月末に仕入先の請求書がまとまって届く工場なら、10件ずつ区切って入力すると早く終わります。
- 請求書や領収書に印字された「T」で始まる番号を控える
- 公表サイトを開き、「T」を外した13桁を半角数字で入力する
- 複数の取引先を調べるときは「登録番号でまとめて検索する」を使い、10件まで並べて入力する
- 表示された氏名または名称が、請求書の発行元と一致しているかを見る
- 登録年月日と、取消・失効の日付が出ていないかを確かめる
国税庁インボイスQ&A 問20(令和8年5月改訂版)も、受け取った請求書等に記載された登録番号を基に検索すれば、氏名・名称や登録年月日などの公表情報を確認できる、と説明しています。つまり、手元に番号がある状態から照合するのがこのサイトの前提です。
名称で探せない理由と「○○自動車整備工場 インボイス」で探す場合
検索エンジンで「○○自動車整備工場 インボイス」のように、取引先の名前と組み合わせて番号を探す人は少なくありません。ところが公表サイトには名称の検索欄が置かれていません。法人番号から探したい場合に向けて、法人番号公表サイトへのリンクがあるだけです。
法人の場合は、この経路で番号を推測できます。Q&A 問18は、法人番号を持つ課税事業者の登録番号を「T」+法人番号(数字13桁)と定めています。法人番号公表サイトで取引先の法人番号を調べ、その13桁を公表サイトに入れれば、登録の有無を確認できます。
個人事業者の番号は、法人番号のような元になる番号がありません。Q&A 問18は、個人事業者等は「T」+数字13桁で、マイナンバーは用いないとしています。個人で営む板金屋さんや陸送業者の番号を知りたいときは、相手に直接たずねて、請求書に載せてもらうのが確実です。
公表サイトで確認できる項目と個人事業者の屋号
公表サイトに載る項目は法令で決まっています。Q&A 問19(令和8年5月改訂版)が挙げる法定の公表事項を、法人と個人事業者に分けると次のようになります。
| 公表事項 | 法人 | 個人事業者 |
|---|---|---|
| 氏名または名称 | 公表される | 氏名が公表される |
| 本店または主たる事務所の所在地 | 公表される | 申出をした場合のみ(主たる事務所の所在地等) |
| 主たる屋号 | (該当なし) | 申出をした場合のみ |
| 登録番号 | 公表される | 公表される |
| 登録年月日 | 公表される | 公表される |
| 登録取消年月日、登録失効年月日 | 該当すれば公表される | 該当すれば公表される |
個人事業者が屋号や事務所の所在地を公表したいときは、「適格請求書発行事業者の公表事項の公表(変更)申出書」を出す必要があります(Q&A 問19)。申出をしていない個人事業者は、公表サイトで調べても氏名しか出てきません。請求書には「○○ボデー」と屋号が書いてあるのに、公表サイトでは個人名が表示される、という食い違いはここから生じます。
屋号しか書いていない請求書やレシートの扱い
国税庁インボイスQ&A 問21-2(令和8年5月改訂版)は、屋号で発行されたレシート等について「その登録番号の有効性が確認できれば、一義的には有効な適格請求書等として取り扱うこととして差し支えありません」としています。公表サイトで番号が有効と分かれば、表示名が個人名でも、請求書の屋号と食い違うことだけを理由に受け取りを止める必要はありません。なお、登録番号を偽って記載することは消費税法で禁止されており、違反には1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が定められています(消法57の5、65)。
Web-APIと全件データで登録番号をまとめて確認する方法
取引先が数百社ある中古車販売店や、部品の仕入先が多い整備工場では、10件ずつの手入力では追いつかないこともあります。公表サイトには、画面での検索のほかに二つの仕組みが用意されています。
| 方法 | 内容 | 向いている使い方 |
|---|---|---|
| 画面での検索 | T除く13桁を入力。一度に10件まで | 取引開始時や月次の確認 |
| Web-API | システム間連携のための機能(Q&A 問20) | 会計ソフトや販売管理システムから番号を照合する |
| 公表情報のダウンロード | 前月末時点の最新情報を全件データファイルで提供(Q&A 問21) | 取引先マスタと一括で突き合わせる |
全件データには注意点があります。Q&A 問21は「個人事業者については氏名等の情報を削除して提供しています」と書いています。個人の外注先を名前で突き合わせる用途には使えません。また、公表サイトの画面を機械で読み取る、いわゆるスクレイピングは「本サイトの利用規約上禁止しています」と明記されています。一括で確認したいときは、Web-APIか全件データを使うのが正しい経路です。
公表サイトのお知らせでは、令和8年(2026年)9月4日付で「適格請求書発行事業者公表システムWeb-API機能」の利用規約と個人情報保護方針の一部改正が告知されており、令和8年9月21日から適用されています。Web-APIを使った仕組みを組んでいる場合は、改正後の規約を一度読み直しておくと安心です。
登録番号が見つからない取引先への対応
番号を入れても該当がない、あるいは請求書に番号そのものが書かれていない場合、Q&A 問20は「まずは、相手方にご確認いただきますようお願いします」としています。単純な転記ミスもあるので、いきなり未登録と決めつけず、相手に番号を聞き直すのが先です。
確認の結果、相手が適格請求書発行事業者でなかった場合、その請求書では原則の仕入税額控除は受けられません。ただし経過措置があり、免税事業者などからの仕入れでも仕入税額相当額の一定割合を控除できます。令和8年(2026年)10月1日から令和10年(2028年)9月30日までの課税仕入れは70%です(Q&A 問113、令和8年5月改訂版)。割合の推移や帳簿の書き方はインボイス経過措置の70%控除と経過措置を受けるときの帳簿の書き方にまとめています。
自動車業ならではの例外もあります。中古車販売店が消費者や免税事業者から商品として中古車を買い取る場合は、古物商等特例により帳簿のみの保存で控除が認められます(Q&A 問106)。この場合、そもそも登録番号の確認は前提になりません。詳しくは中古車仕入れの古物商等特例をご覧ください。
また、税込1万円未満の課税仕入れであれば、基準期間の課税売上高が1億円以下などの事業者は、令和11年(2029年)9月30日まで帳簿のみの保存で控除できます(少額特例、Q&A 問111)。相手が未登録でも対象になります。ガソリンスタンドでの少額の給油や、近所の部品屋での小口購入などは、この特例が使えるかを先に見ておくと、確認の手間を減らせます(少額特例の判定単位)。
取引先が免税事業者のまま取引を続けるか、登録を検討してもらうかを考えるときは、免税事業者との取引の見直し方も参考にしてください。
自社の登録番号を請求書に正しく載せる確認
番号の確認は、受け取る側だけの話にとどまりません。整備工場や車販店が法人や個人のお客様に出す請求書にも、自社の登録番号が正しく載っている必要があります。国税庁インボイスQ&A 問54(令和8年5月改訂版)が示す適格請求書の記載事項は6つで、その一つ目が「適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号」です。
| 記載事項(Q&A 問54) | 整備・車販の請求書で見るところ |
|---|---|
| ①発行者の氏名または名称と登録番号 | Tから始まる14文字が、公表サイトの番号と一致しているか |
| ②取引年月日 | 作業完了日や納車日が入っているか |
| ③取引の内容 | 部品代、工賃、車両本体などが分かる書き方か |
| ④税率ごとに区分した合計額と適用税率 | 10%対象と課税対象外(法定費用など)が分かれているか |
| ⑤税率ごとに区分した消費税額等 | 端数処理が請求書単位で税率ごとに1回になっているか |
| ⑥交付を受ける事業者の氏名または名称 | 法人のお客様の宛名が入っているか |
番号の打ち間違いは、相手が公表サイトで照合したときに初めて発覚します。Q&A 問32は、記載事項に誤りがあったときは修正した適格請求書を交付しなければならないとしています。法人のお客様や保険会社から番号の照会が来る前に、自社でも一度、請求書の番号を公表サイトに入れて確かめておくと安全です。端数処理はインボイスの端数処理、車検の法定費用の書き分けは法定費用・立替金の請求書の書き方で詳しく扱っています。
請求書の様式が整備システムや整備ソフトから出力される場合、登録番号は初期設定の画面で一度入力したきりになっていることがほとんどです。会社を法人化した、屋号を変えた、といった変化があった工場は、設定画面と公表サイトの両方を見比べてください。
整備工場・車販店が今やること
- 仕入先、外注先、陸送業者などの請求書から登録番号を拾い、公表サイトで10件ずつ照合する
- 番号のない請求書を出してくる相手には、まず番号の有無を問い合わせる
- 未登録と分かった相手は、経過措置(令和8年10月から70%)の対象として帳簿に区分する
- 取消・失効の日付が出ていないか、年に一度は主要取引先を再確認する
- 自社の請求書に印字される登録番号を、公表サイトの表示と照らし合わせる
- 取引先が多い場合は、スクレイピングに頼らずWeb-APIか全件データで突き合わせる
請求書の登録番号の印字や、取引先ごとの区分を整備システムの中で管理したい場合は、日本カーネットの無料相談でご相談いただけます。制度全体の流れはインボイス制度の概要にまとめています。
よくある質問
- インボイスの登録番号は会社名で検索できますか?
- 国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトには、名称で探す検索欄はありません。「T」を除く13桁の番号を入力して確認します。法人であれば、法人番号公表サイトで調べた法人番号の頭にTを付けたものが登録番号です(Q&A 問18)。
- 一度に何件まで確認できますか?
- 公表サイトの「登録番号でまとめて検索する」機能で、一度に10件まで検索できます。それ以上の件数をまとめて確認したいときは、Web-APIや、前月末時点の全件データファイルを使います。
- 個人の外注先を調べたら屋号が出てきませんでした。
- 個人事業者の屋号や事務所の所在地は、本人が公表の申出書を出した場合にだけ公表されます(Q&A 問19)。番号の有効性が確認できれば、屋号で発行された請求書も一義的には有効な適格請求書等として扱って差し支えないとされています(Q&A 問21-2)。
- 番号を入れても該当がなかったときはどうすればよいですか?
- 国税庁は、まず相手方に確認するよう案内しています(Q&A 問20)。未登録と分かった場合は、経過措置により令和8年10月1日から令和10年9月30日までの仕入れは仕入税額相当額の70%を控除できます。
- 公表サイトの情報を自動で取得してもよいですか?
- 画面を機械で読み取るスクレイピングは利用規約で禁止されています。システムで照合したい場合は、国税庁が用意しているWeb-APIか、公表情報のダウンロード機能を使います。
出典・参考資料
- 国税庁 適格請求書発行事業者公表サイト
https://www.invoice-kohyo.nta.go.jp/ - 国税庁「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」(令和8年5月改訂)問18〜21-2、問32、問54、問106、問111、問113
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/01-01.pdf - 国税庁 Q&A 目次ページ
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/qa_01.htm - 国税庁 インボイス制度特設サイト
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice.htm
記載内容は2026年10月6日時点で国税庁等の公表資料を確認したものです。個別の取引の税務判断を示すものではありません。実際の申告・経理処理は、顧問税理士または所轄の税務署にご確認ください。
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