登録番号なしの請求書・領収書はどうなる?インボイスがない場合の控除と対応

部品商や外注先、ガソリンスタンドから受け取った請求書・領収書に登録番号が書かれていないとき、その消費税はまったく控除できないわけではありません。相手が免税事業者でも登録事業者でも、区分記載請求書と同じ事項が書かれていれば経過措置で2026年10月1日以後は70%を控除でき、税込1万円未満なら事業規模によっては少額特例で全額を控除できます。ただし、買手が自分で番号を調べて書き足しても適格請求書にはなりません。国税庁インボイスQ&A(令和8年5月改訂版)の問37・問92・問95・問111・問113-2をもとに、受け取った側の対応を整理します。

登録番号のない請求書・領収書で控除できる額

登録番号のない請求書・領収書は適格請求書ではありませんが、区分記載請求書等と同じ事項(作成者の氏名、取引年月日、内容、税率ごとの税込金額、受け取る事業者の名称)が書かれていれば、免税事業者等からの仕入れの経過措置の対象になります。国税庁Q&A問113-2は、相手が登録事業者で番号が書かれていないだけの請求書でも、一律にこの経過措置を受けることになるとしています。控除できるのは仕入税額相当額の一定割合で、2026年9月30日までの取引は80%、10月1日から2028年9月30日までは70%です。税込55,000円の外注代なら、70%の期間は5,000円の70%で3,500円を控除できます。

受け取った書類相手控除できる割合
登録番号のある適格請求書登録事業者全額
登録番号のない請求書・領収書(区分記載の事項あり)免税事業者・未登録経過措置(80%→70%→50%→30%)
登録番号のない請求書・領収書(区分記載の事項あり)登録事業者経過措置(問113-2)。売手から適格請求書を受け取り直せば全額
税込1万円未満の仕入れ(書類の有無を問わない)誰でも少額特例の対象事業者なら全額(2029年9月30日まで)

控除額は経過措置の計算ツールで確かめられます。

税込1万円未満なら登録番号がなくても全額控除できる場合(少額特例)

基準期間(2年前)の課税売上高が1億円以下、または特定期間の課税売上高が5千万円以下の事業者は、2029年9月30日までに行う税込1万円未満の課税仕入れについて、インボイスがなくても帳簿の保存だけで全額を控除できます(国税庁Q&A問111)。相手が登録事業者でなくても対象です(問111の注2)。判定は1回の取引の合計額で行い、商品1点ごとでも月まとめの請求書単位でもありません(問112)。詳しくはインボイスの少額特例で解説しています。

3万円未満の電車・路線バスの運賃や自動販売機・ATMの手数料のように、もともと帳簿だけで控除できる取引もあります。一覧は帳簿のみ保存の特例一覧にまとめています。

登録番号を買手が調べて書き足してもよいか

買手が国税庁の公表サイトで相手の登録番号を調べ、受け取った請求書に自分で書き足しても、適格請求書にはなりません。国税庁Q&A問92は、受け取った適格請求書の記載に誤りがあったときは売手に修正した適格請求書の交付を求めるのが原則で、買手は原則として自ら追記や修正をできないとしています。例外は、買手が誤りを直した仕入明細書を作り、売手の確認を受ける方法です。経過措置の書類についても、買手が追記できるのは「軽減税率の対象である旨」と「税率ごとの税込金額」が欠けている場合だけです(問113の参考2)。

相手が登録事業者なのに番号がない場合は、売手に番号の入った請求書を出し直してもらうか、番号を書類やメールで知らせてもらい、もとの請求書と関連づけて保存します。国税庁Q&A問37は、登録の通知が届く前に番号のない請求書を出した売手の対応として、通知後に適格請求書を出し直す方法と、不足する登録番号を書類やメールで知らせる方法を挙げています。

契約書に登録番号がない家賃・リース料の扱い(契約書+通帳)

工場や駐車場の家賃を口座振替で払っていて、請求書や領収書が毎月出ない取引でも、仕入税額控除には原則として適格請求書の保存が要ります。国税庁Q&A問95は、適格請求書の記載事項は1枚の書類にそろっている必要はなく、記載事項の一部が書かれた契約書と、取引の事実を示す通帳(振替の記録)や振込金受取書を合わせて保存すれば要件を満たすとしています。

令和5年9月30日より前に結んだ契約で、契約書に登録番号などが足りない場合は、貸主から足りない事項の通知を別に受け、契約書と一緒に保存すれば差し支えないとされています(問95の参考)。途中で貸主が登録をやめても連絡が来ないことがあるため、必要に応じて公表サイトで相手の登録を確かめます。

登録番号のない書類を受け取ったときの確認の順番

  1. 税込1万円未満で、自社が少額特例の対象なら、帳簿だけで全額控除します
  2. 帳簿だけで控除できる取引(3万円未満の公共交通機関、自販機・ATMなど)に当たらないか確かめます
  3. 相手が登録事業者かを確かめます。番号がわからないときは登録番号の調べ方の手順で調べます
  4. 登録事業者なら、番号の入った請求書を出し直してもらうか、番号の通知を受けて保存します
  5. 未登録の相手なら、区分記載の事項がそろっているかを確かめ、経過措置(70%など)で処理し、帳簿に経過措置の旨を書きます

番号を受け取ったら、登録番号の書式チェックで写し間違いがないかを確かめてから公表サイトで照会すると、該当なしの原因を切り分けやすくなります。

よくある質問

登録番号のない領収書をもらったら控除できませんか?
区分記載請求書と同じ事項(作成者の氏名、年月日、内容、税率ごとの税込金額、宛名)があれば、経過措置で2026年10月1日以後は70%を控除できます。税込1万円未満で少額特例の対象事業者なら全額を控除できます。
相手は登録事業者なのに請求書に番号がありません。どうなりますか?
そのままでは適格請求書ではないため、経過措置の対象になります(国税庁Q&A問113-2)。売手に番号の入った請求書を出し直してもらうか、番号を書類やメールで知らせてもらい、もとの請求書と合わせて保存すれば全額を控除できます。
公表サイトで調べた登録番号を請求書に書き足してもよいですか?
買手は自ら追記・修正できません(国税庁Q&A問92)。売手に修正した請求書を出してもらうか、買手が作った仕入明細書で売手の確認を受ける方法をとります。
契約書に登録番号がない家賃はどうすればよいですか?
記載事項の一部が書かれた契約書と、通帳の振替記録や振込金受取書を合わせて保存すれば要件を満たします。令和5年9月30日以前の契約で番号が足りない場合は、貸主から番号の通知を受けて契約書と一緒に保存します(国税庁Q&A問95)。

出典・参考資料

記載内容は2026年10月26日時点で国税庁等の公表資料を確認したものです。個別の取引の税務判断を示すものではありません。実際の申告・経理処理は、顧問税理士または所轄の税務署にご確認ください。

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